• 2019.02.28
  • コラム

世界の航空機産業は何故発展しているのか? 日本の航空機産業は何故発展しないのか? これからどうすれば航空機産業を発展させられるのか?

エアロスペース飯田 特別顧問  宮﨑 浩

皆さんご承知のことと思いますが、MRJの競争機種を供給していたカナダとブラジルの機体メーカーはボーイング社とエアバス社に其々合体してしまいました。民間旅客航空機を造っているのは日本だけとなりました(特殊なロシアと中国を除いて)。 一方 機体構造、エンジン、システム、機器など製造企業が世界各地に進出して、各地で航空機関連生産産業が発展し続けています。

  • 東ヨーロッパ(ルーマニア、ポーランド、チェコ、ブルガリアなど)へ進出数十社、現地雇用数千人。
  • アジア諸国(インド、中国など)では機体製造から機械加工まで数百社が進出して
  • 何万人もの雇用を創出している。今後の伸び率が最も大きいと期待されている。
  • 驚いたことに北アフリカ(マグレブ諸国 モロッコ、チュニジア)には200社以上が進出立地、4000人の雇用、売上15億ドル/年、5年間の伸び率は15%以上。

設計製造基本能力経験を有していなかった国々で何故これだけの航空関連製造業が活況なのか? 設計製造能力を有すると思われる日本には何故、航空機関連企業の工場は全く進出しておらず、航空関連産業も発展していないのか? コストだけではない様々な要素があるようですが、行政含め改めて この違いの理由を明確にすることで、今後の日本の航空産業育成方針と対策を改善できるのではないでしょうか。 主な欧米システム機器企業責任者の意見を聞いた限りでは、日本に工場進出してこなかった理由は、魅力的な企業誘致条件ではないこと、企業間の人材流動が難しいことなど、海外企業誘致と協業を本気で願っていないと感じているようでした。 一方で 日本には画期的な新技術開発との提携連携が期待されています。

どうしたらNAMAC参画企業の皆様の主要事業である機械加工ビジネスを伸ばせるか。 お客様であるシステム機器メーカーとの連携を強めることで、お客様が直面している生産能力向上  ニーズを満たすサービスを提供する以外ないのではないでしょうか。外注依存度が益々大きくなる傾向で、お客様は調達担当者を増員してサプライチェーンの納期品質管理に大きなコストを使っています。必要な加工部品や組品を必要な時に必要なだけ生産ラインに投入できるサービスを提供することができれば、客先の航空システム機器製造の重要な一端を担うことができ、流石、日本企業は頼りになると高い評価を受けられると思います。

上記客先貢献仮説をベースに主要欧米企業との連携強化を図っております。 市場客先ニーズを満たす対応は複数の企業間の連携対応が必要になると考えられます。今後、市場客先情報を開示して参りますので、連携対応を希望される多くの方々の参加を期待しております。